建設産業常任委員会所管事務調査報告書

 

建設産業常任委員会 所管事務調査報告書(案)

1.調査事項
(1)農村再生・活性化について
(2)バイオマスの利活用について
(3)リサイクル事業について

2.調査目的
現在、本庄市の耕作面積は年々減少しているが、一方で耕作放棄地は年々増加となっている。その要因としては農業者の高齢化や後継者不足などが考えられるところであるが、本市ではその解消に向けた取り組みが始められている。また、地球温暖化の問題は年を重ねるごとに深刻さを増し、石油エネルギーに替わる新エネルギーを利用した施策の展開や、より一層のリサイクルの推進が必要になっている。本市では環境基本計画に「環境にやさしいエネルギーの利用」及び「リサイクルの推進」等を位置づけ、環境負荷軽減への取り組みを推進している。
本委員会では「活力ある農村地域」として再生される千歳市駒里地区の状況ほか、環境負荷の低減、循環型社会の構築を進めている先進地の事例調査を行うことで本市への提言としたい。

3.調査方法
○現状調査(本庄市の現状について)
(1)日 時  平成21年6月5日(月) 午後9時30分〜
(2)場 所  本庄市議会第2委員会室
(3)出席者  青木清志委員長・堀口勝司副委員長・湯浅貴裕委員・飯塚俊彦
委員・高橋清一朗委員・中原則雄委員・野枝直治委員 計7名
(4)説明員  吉川敏男経済環境部長・内笹井武登士環境推進課長・横堀隆宣
農政課長

○先進地調査
(1)農村再生特区について
ア.日 時  平成21年7月22日(水) 午後2時30分〜午後4時
イ.場 所  北海道千歳市役所・市内
ウ.出席者  青木清志委員長・高橋清一朗副委員長・飯塚俊彦委員・中原則雄委員・野枝直治委員 計5名
エ.説明者  千歳市

(2)バイオマスタウン構想及び菜の花プロジェクトについて
ア.日 時  平成21年7月23日(木) 午前10時〜午前11時30分
イ.場 所  滝川市役所・広域廃棄物処理施設
ウ.出席者  青木清志委員長・高橋清一朗副委員長・飯塚俊彦委員・
中原則雄委員・野枝直治委員 計5名
エ.説明者  滝川市市民生活部くらし支援課 橋本

(3)廃食用油の回収とバイオディーゼル燃料(BDF)等への再生処理及び使用
について
ア.日 時  平成21年7月24日(金) 午前10時〜午前11時30分
イ.場 所  旭川市役所
ウ.出席者  青木清志委員長・高橋清一朗副委員長・飯塚俊彦委員・中原則雄委員・野枝直治委員 計5名
エ.説明者  旭川市

4.調査概要
(1)農村再生特区について (北海道千歳市) 
@ 事業の目的
千歳市は、北海道の空の玄関である新千歳空港を擁し、市西部には支笏湖があり、近年は物流拠点として発展している。また、陸上自衛隊第7師団、航空自衛隊第2航空団が存在し、自衛隊関係者だけでも3万人も居住する自衛隊の町といった側面もある。人口は平成21年3月末現在で92,732人、面積は594.95平方kmである。
特区認定地域を「活力ある農村地域」として再生する事を目標とするため、構造改革特区の指定を受け、特定事業として農地の下限面積要件を2ヘクタール(北海道の場合)から10アールに緩和し、新規就農者の農地取得に係る初期投資の軽減を図ることで農業に参入しやすい環境を整える事を目的としている。また、市、農業委員会、農業協同組合により農地供給量の把握を行いながら、新規就農者に対する優良農地の斡旋等、農地の流動化活動を促進し、優良農地の保全と遊休農地の解消に努めるものとしている。
これらを総合的に推進する事により、既存の農業者と新規参入した農業者が共同で地域づくりに取り組み、新たな農村コミュ二ティーの形成により、特区指定地域が活力ある農村地域として再生する事を目指していることなどがあり、本庄市に導入可能な部分があるか調査するものである。

A 導入・開始経緯
北海道において、昭和50年及び55年に大洪水が発生したのを契機に昭和57年石狩川水系工事実施基本計画が全面的に見直され、千歳川の治水対策として千歳川放水路計画が決定された。
この千歳川放水路計画は、千歳川の洪水を放水路により直接太平洋に放流する計画で、地元千歳川流域の農業者や漁業団体、自然保護団体から様々な意見が出されたことにより事業を進めることができなくなり、平成11年に計画が中止となった。
駒里地区は、千歳川放水路計画の予定地であったため、ルート決定の発表後、基盤整備や施設近代化等の農業投資が行われる事がなく20年が経過し、農業従事者の負債の累積、高齢化、担い手不足が深刻な地域となり、今後急速に農地の遊休化の進行が予想されたため、新たに農業に取り組む意欲のある者を活用するなど既存の枠組みにとらわれない事業の創出が求められた。

B 事業成果・今後の課題
平成15年11月に構造改革特区の認定を受け、平成16年特区内でモデル地区を設定。平成16年に千歳市駒里地域活性化促進協議会が市から資金を借入し基盤整備と区画割を行い、17年7月モデル地区の基盤整備を完了し分譲を開始している。
特区事業の基盤整備のための資金、約7,800万円については、平成18年度までに全額返済済みとなっている。
モデル地区の状況
○ 造成面積:96,641u
○ 区 画 数:58区画(最多価格帯 1区画1,450u、490万円台)区画内に住宅を建てることも可能。
○ 分譲状況:31区画について分譲済み(平成21年7月1日現在)
○ 購 入 者:50〜60歳代の男性が主で、実際の農作業は家族ぐるみで行っている。
新規就農者として分譲区画を購入し、そばや豆類の栽培の他や野菜類(馬鈴薯、大根、アスパラ、玉ねぎなど)花卉栽培を行っている。
周辺農家の反応については、有料で肥料等の供給及び耕作・営農指導等を実施し、友好的に交流が行われている。
今後も、農地取得希望者は増加する見込みであることから、遊休農地の解消に一役を担うものと期待する。
現在、特区地域の農家戸数は、50戸程度であり、将来モデル地区の分譲が全て終れば農家数は倍加するので、地域の振興策を実行するうえで大きなものとなることから、地元では特区地域への定住が望まれている。
今後の課題としては特区事業推進の足がかりとして、モデル地区の基盤整については市から貸付金の交付により事業を行ったが、今後、モデル地区以外については同様の支援を行う予定はない。その状況下で農地分譲がどこまで可能なのかが今後の課題と考えられる。また、新規就農者として区画を購入する者が、農業のみで生計を維持できないことから、50歳代以降の購入者が多くなっており、将来、後継者問題の発生が危惧されている。

 

C 本庄市の現状
  現在本庄市では、
・ 国の食糧・農業・農村基本計画
・ 農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想(農業経営基盤強化促進法第6条に基づく)目標:おおむね10年後に一経営体1,000万円、1,800時間「魅力とやりがい」
・ 本庄市総合振興計画(平成20年度〜平成29年度)
・ 本庄農業振興地域整備計画

等の上位計画に基づき農業の振興を図っている。
しかし、耕地面積は年々減少し約2,320ヘクタール(平成18年度末)となっており、耕作放棄地は年々増えて約104ヘクタール(平成20年7月)となっている。また、基盤整備は整備の困難な児玉地域の中山間地域を除けば整備率80%以上と高く、肥沃な優良農地が広がっており、水稲や麦類などの穀物だけでなく、ナス、キュウリ、ネギ、トマト、ブロッコリーなどの野菜やぶどう・いちごなどの果物・花き栽培も盛んで、埼玉県第3位の約88億円(18年度)の産出額を誇り首都圏の一大供給基地となっている。また、農産物生産者についても総農家数2,187軒中、専業農家444軒をしめ、効率的な経営を目指す認定農業者数は400人(20年度末)・新規就農者は48人(16年度〜20年度)を数え、農業青年会議所64人や4Hクラブ21人など若い担い手が元気に活動している。

D 本庄市へ導入する場合の課題
本庄市では、
・ 効率的な経営を目指す担い手(認定農業者)への農地の利用集積を図る。
・ 有機100倍運動を促進し、安全・安心で新鮮で顔の見える農産物を通してブランド化を図る。
・ 中山間地域の農村の再生を図る。
・ いきがい農業や小規模兼業農家、土地持ち非農家への補助労働力の提供や市民農園の開設などの協力体制を図る。
などの目標があり、基盤整備率が約80%と高く、県内でも上位に位置し、利用状況も良好であるため、千歳市のような農地の権利取得後の下限面積要件を2ヘクタール(北海道の場合)から10アールに緩和し、農業に参入しやすい環境を整えることより、児玉地域の中山間地に点在する耕作放棄地を担い手に集積する手法が考えられる。

E 本庄市への反映・提言
千歳市駒里地域では、高齢化と後継者不足による離農が進んでおり、耕作放棄地が将来増加するものと見込まれ、地域活力の低下が懸念されたため農地の権利取得後の下限面積を緩和した。
本庄市も首都圏から80キロ圏にあり、耕作放棄地の集積や集積した農地を市民農園化、農村公園化して地域間交流が盛んになれば駒里地域の手法も反映できるものと考えられるが、現状の本庄市においてはそのままの導入は困難かと思われる。
しかし、新規の就農者が首都圏から流入してくるような受け皿ができるとすれば、大いに研究の余地のある手法だと考えられる。
中山間地に残されている山村風景や小川やため池など、水と緑に親しむことのできる、開発が進んでいない環境を特徴とした農業振興をこれからも研究していく必要があると考えられる。
今後の本庄市の財政、振興計画等の状況を踏まえつつ調査、研究の対象としていただきたい。

(2)バイオマスタウン構想及び菜の花プロジェクトについて
(北海道滝川市)
@ 事業の目的
滝川市は、平成15年1月に、地域の優れた環境を再生し、美しい地球を未来に引き継ぐため、環境にやさしいまちづくりに努めることを誓い「環境都市宣言」を行い、平成18年9月には温暖化防止や環境負荷の低減、循環型社会の構築、産業振興といった多角的な面からの効果が期待されるバイオマスの利活用を地域ぐるみでの推進を目指した「滝川市バイオマスタウン構想」を策定し、地域のバイオマス利活用方法として滝川市内の地域バイオマスに係る状況等を考慮し、バイオマスタウン実現に向けた次に掲げるポイントを設定した。
・ 農業系未利用資源の利活用の推進
・ バイオマスの燃料化利用(菜の花プロジェクトほか)
・ バイオガス化プラントの発展的活用方策の検討
・ その他のバイオマス利活用の推進
国内でも屈指の栽培面積を誇る菜種の生産をベースとした菜の花の振興策「たきかわ菜の花プロジェクト」の一環として、菜種油のバイオディーゼル燃料製造事業化に関する調査研究や使用済み食用油燃料化キットの公用車導入などを進めるとともに、それらの技術動向等をにらみながら地域社会への普及に向けて効率的かつ経済性にかなう合理的な原料調達スキーム等の構築、地域産業との連携などに向けて取り組んでいくこととする。

A 導入・開始経緯
     滝川市のこれまでの資源循環、バイオマス利活用推進への取り組み
・ 平成15年1月1日 環境都市宣言
・    同年4月   一般廃棄物の広域処理スタート
(生ごみバイオガス化処理を8月本格稼動)
・ 平成16年4月   バイオガス利活用推進事業スタート
・ 平成18年2月   滝川産菜種油を原料としたBDF精製及び冬季走行実験
・    同年7月   使用済み食用油燃料導入事業調査着手
・    同年9月28日 滝川市バイオマスタウン構想公表
・ 平成19年12月   使用済み食用油燃料化推進事業スタート
滝川市がバイオマス事業に取り組んだ要因
・ 国がバイオマス事業を後押ししたこと(バイオマス・ニッポン総合戦略や支援制度の拡充)
・ 生ごみのバイオガス化事業への着手(国内バイオマス事業における先行事例としてこれを核に発展拡充)
・ 技術との出会い(バイオ燃料技術の進展による選択肢の拡大)
バイオマスの燃料化利用
・ 使用済み食用油の燃料化に係る取組

平成18年度  学校給食から排出された使用済み食用油を利用するべく、市が公用車1台にSVFシステムを導入。
また、市内一般家庭及び飲食店等事業所から発生する当該バイオマスを対象とした社会システム構築に向け、賦存量、効率的な収集方法、当該燃料の環境性能、経済性、事業化スキームなど調査検討を実施。

平成19年度  平成19年12月回収ボックスをガソリンスタンド6箇所に設置し回収をスタートした。
その後回収拠点を26箇所に拡大し、現在月300〜400リットル程度回収している。
現在市のゴミ収集車4台及び市のバス1台で利用している。
・ 菜種油のBDF化利用に係る取組
平成17年度  滝川産菜種油を原料にバイオディーゼルを実験室レベルで製造、一般廃棄物収集運搬車に軽油と混合の上、冬期走行試験を実施。(2月実施)
平成18年度  菜種油のバイオディーゼル製造に着手し、市の公用車等での軽油との混合利用などをベースにコストや燃料としての実用性等について調査検討するため、実証試験を実施。
平成19年度以降 引き続き、情報収集を進めながら、地域の民間事業者等との連携を図るなど実用レベルに近づけるべくコスト対策等の検討を進め、本格的な事業化を目指す。

生ごみバイオガス化処理
・ 平成9年12月に北海道が策定した「ごみ処理の広域化計画」に基づき滝川市を含めた中・北空知地域における関係市町が連携し、平成11年3月に「中・北空知地域ごみ処理広域化基本計画」を策定。
計画を進めるにあたり、生ごみの処理については可燃ごみとの包括的な広域処理が焼却施設側の受入条件等から困難であるとの結論をみたことから、別途、その対応策について検討が行われ、その結果、生ごみのバイオガス化処理が選択された。
滝川市は周辺の2市2町と中空知衛生施設組合を構成し、家庭系の生ごみを対象とした施設としては、国内でも最大規模といわれる処理能力55トン/日のバイオガス化プラントの運営に当たっている。

B 事業成果・今後の課題

バイオマスの燃料化利用
・ バイオディーゼル燃料化について、廃食油からまたは菜種油そのものから製造する両方のアプローチを模索しており、現在事業化に向けた調査を実施中。今後は調査結果を踏まえ、各種課題の解決方策を整理しながら順次進めていくとのこと。
また、菜種油をはじめとする関連食品の製造・販売に向け、特徴ある商品づくりに取り組んでおり、地産地消の推進と併せて、地域外への販売についても検討を進めている。
・ 菜種契約栽培に対する国の交付金が廃止となり、これまでの生産量が維持できるかどうか不透明な状況にあり、生産者自らが菜種油の販売に向けた取組みを始めているが、プロジェクトが単に環境にやさしいという理念に止まらず、産業につながり地域が活性化するという道筋が重要となる。

生ごみバイオガス化処理
・ 対象となる一般廃棄物の生ごみの収集運搬については、家庭系はそれぞれの構成市町が担うこととしているほか、事業系については主に一般廃棄物収集運搬許可業者による収集運搬もしくは排出事業者自らが直接搬入することとしている。
集約された生ごみの処理は、中空知衛生施設組合が運営する一般廃棄物処理施設「リサイクリーン」において行い、生ごみをメタン発酵処理し、そこから得られたメタンガスを脱硫精製した後、電気や熱エネルギーへと変換し、併設するリサイクルプラザ等を含め施設全体の運営に必要な電力や熱についてその一部を賄っている。
また、発酵残さについてはさらに熟成を行い、優良な肥料として一般販売を行うなど、農地への還元を進め、徹底した資源循環に努めている。

今後の展望について
・ コンパクトかつシンプルに、また汎用的に多くの人が利用できる技術、利活用スキームのための情報収集が必要
・ 原油高という社会的かつ世界的状況に対応すべくバイオマス利用の推進の波にどのように対応していくか。情報の取捨選択をどのように行い、長期的な展望を持てるか。例えば稲わらエタノールの将来的な見通しについて、稲わらの収集方法が課題であるなど。

C 本庄市の現状
平成13年から15年にかけて、本庄国際リサーチパーク、早大、本庄市及び市民が共同し、家畜のふん尿を利用した燃料の研究を実施したが、具体的活動には至っていない。
現在、地球温暖化問題を考えると石油エネルギーに替わる新エネルギーを利用した施策の展開が必要になっており、本庄市環境基本計画では「環境にやさしいエネルギーの利用」として位置づけ地域におけるエネルギーの研究や実験等積極的に推進することとしている。

D 本庄市へ導入する場合の課題
バイオマスとは石油や石炭などの化石燃料を除き、木材や稲わら、麦わら、家畜のふん尿など、生物由来の有機性資源を指すが、滝川市では生ごみや国内屈指の栽培面積を誇る菜種油等の利活用を進めている。
ある程度の事業化を図るためにはバイオマス資源の安定的・継続的な供給が不可欠となる。以前、本市で進められた家畜ふん尿の燃料化の研究も安定的な供給量の問題により止まってしまったと聞くところである。
本市で導入を考えたときに、まずは安定的・継続的な供給が可能となるバイオマス資源の選定が必要となる。

E 本庄市への反映・提言
滝川市では廃棄物系バイオマスについて、主たる生ごみや下水道汚泥、家畜ふん尿などの利活用が概ね図られた結果、全体の利用率は98%に達している。通常、バイオマスの利活用で期待される一般的効果としては、環境負荷の軽減、資源の有効利用促進、化石燃料の使用抑制、温暖化防止、地域産業の活性化、農業農村の活性化など様々な効果が挙げられているが、都市部と農村地域が共存する本市においても、これらの効果は大いに期待されるところである。
生ごみのバイオガス化や使用済み食用油の自動車燃料化などをはじめとした廃棄物系バイオマスの利活用の推進は、焼却炉への負荷の軽減などの効果と、同時に元来廃棄物である生ごみや使用済み食用油がエネルギーとしての活用が図られることから資源の有効利用が達成される。
また、バイオマスの利活用は、クリーン農業の実現とエネルギー供給者としての農業の新たな役割創出の両立を実現することにもつながることとなり得る。例えば、家畜ふん尿由来のたい肥の活用の推進は、地域農業にとって出自が明確なたい肥の利用拡大といった観点から、いわゆる安心・安全な農業の推進による付加価値の向上にも寄与する。また、運搬に係るエネルギー消費の低減や、地域バイオマスの活用による資源循環の推進、資源の自給率向上といった観点から、環境面に配慮したクリーン農業及び強い農業への礎を築くことにもつながるところである。
こうしたことから、本市においてもバイオマスの利活用について積極的な調査、研究が望まれるところである。

 

(3)廃食用油の回収とバイオディーゼル燃料(BDF)等への再生処理及び使用について(北海道旭川市)
@ 事業の目的
ア.廃食用油の拠点回収事業
町内会におけるごみの減量化・資源化に向けた各種の取り組みを市が支援することにより、市と町内会の協働によるごみの資源化を図る。
イ.ごみ資源化モデル町内会事業
町内会におけるごみの資源化を推進するため、廃食用油の回収など町内会での取り組みを支援するとともにごみ分別や生ごみの堆肥化などに関するごみ懇談会を実施し、ごみの減量化・資源化の徹底を図る。

A 導入・開始経緯
平成元年より「廃食用油再生利用モデル事業」を開始、家庭から排出される廃食用油を回収し石鹸としての再利用やBDF製造及び研究を行い環境への負荷の低減とリサイクルを推進してきた。
平成18年には16町内会2,849世帯、104か所で回収、年3回で1,593リットルを事業者に委託する。
事業者がBDFの製造及び研究を行っていることから、夏季期間にごみ収集車1台に使用し、燃費や車体への影響等のデータ収集を行う。(単価89.25円/リットル 税込にて購入。平成18年度 2,656リットル使用)
平成19年8月より「廃食用油の拠点回収事業」(上記@ア)を開始し、現在に至る。(家庭ごみ有料化に合わせて実施)
平成20年より「ごみ資源化モデル町内会事業」(上記@イ)を開始し、現在に至る。
平成21年からは、回収された油はBDFに限定して再生処理している。

B 事業成果・今後の課題
現在では、回収拠点をガソリンスタンドなど44か所へ設置。モデル町内会は、50町内会、7,470世帯、139か所で回収を実施。市と町内会の協働によるごみ資源化が着実に推進されており、市民の環境への意識が高まっている。
BDFは冬季も利用できるようになり、ごみ収集車も5台に増車し活用している。BDF利用のごみ収集車は、生態系全体でみるとCO2排出ゼロと言えるので、市民に対しても環境負荷低減の必要性やリサイクル推進による低炭素化社会づくりに効果があることを理解していただける。
今後の課題として、BDFは軽油に比べ少し価格が高いこと、また、回収不能なラード等が混入してしまうこと等が課題となっている。

C 本庄市の現状
平成10年8月から市内(旧本庄市)8公民館に回収容器(ドラム缶)を設置し、家庭から出された廃食用油の回収を実施している。
回収は、市内の業者が行っており、その方法は公民館に設置した回収容器が満杯になった時点で回収を依頼する方法及び業者が定期的に巡回回収する方法をとっている。
回収業者は、回収した廃食用油から沈殿物を取り除き家畜飼料原料として売却しているが、事業系と思われる廃食用油(主にラード)が排出され、リサイクルできないこともある。また、廃油リサイクルの方法については、市から業者に回収を依頼することにより始まった取り組みのため、業者に任されている。

D 本庄市へ導入する場合の課題
本市への導入を考えた場合、現在すでに回収事業を行っている本庄地域では比較的スムースな実施が可能と思われるところであるが、廃食用油の回収が未実施の児玉地域についてどのように実施していくべきか検討を要するところである。また、どこの事業先進地でも課題となっているBDFの製造コストを下げることが導入に向けた大きな課題と思われる。

E 本庄市への反映・提言
廃食用油の回収、バイオディーゼル燃料(BDF)等への再生処理、BDF利用の公用車は、環境への負荷を低減させることは当然として、何よりも市民の環境に対する意識を高めるとの観点から検討していただきたい。
自分が出した廃食用油で公用車が走っていると考えれば、我が家も本庄市に貢献していると感じることができ、本庄市が目指す協働のまちづくりの意識改革への一歩になると思う。
まずは旭川市のように、ごみに関する懇談会を実施し、当該事業をはじめ、家庭ごみの有料化・ごみ袋の形等を含め検討していただきたい。