平成19年6月22日(金) 第2回 定例市議会一般質問・本文

新政の会・飯塚俊彦であります。質問通告書に従い質問をさせて頂きます。

前回に引き続きまして、「農業の活性化について」と題して、農林水産省や埼玉県が進めております「農地・水・環境保全向上対策」事業の

その後と、全国各地でこの事業を取り入れている地域の取り組みについて、本庄市の農業政策にも取り込む事が可能かどうか?と言う事と、先般、国会で成立した「農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律」について質問させて頂きます。

去る、6月9日土曜日、午後11時に、テレビ東京の番組、「ワールド・ビジネス・サテライト」の中で「増える遊休農地は解消できるのか?」と題しての放送がありました。前回の質問でも指摘したように、全国の耕作放棄地は38万ha、埼玉県、滋賀県の面積に匹敵する広さであります。

このまま放って置けば、さらに拡大していくでしょう。そんな状況が社会問題化しているのでテレビでも取り上げられたものだと思います。

内容は、

  1. 千葉市・若葉区、長年にわたって耕作をしなかったために産業廃棄物の格好の集積場所になってしまった例や、
  2. 遊休農地の所有者に農業委員会が耕作の指導を行い、それに従わない場合、農業委員会は市町村長に対して、措置命令を要請し、それでも、従わない場合は30万円以下の罰金を課すことが出来るなどの、農業委員会と地主との関係法令の解説。
  3. 埼玉県・久喜市では、水田耕作をしていた地主が破産してしまい、相続人も農業を続けないのでその地区の担当農業委員がみずから時間をかけ、その水田を整備した例を挙げていました。しかし、復元できたのは、全体のわずか2%に過ぎなかったそうです。一部の人の努力だけでは全体の耕作放棄地を再生するのはとても難しいそうです。

    また、
  4. 上尾市の農業生産法人では、小松菜を主力商品として耕作放棄地を借り受け、人を雇い生産・販売をしているのですが、どんどん放棄地を畑として使用してもらう様、地主さんから依頼されるのですが、その整備のための伐採、抜根が間に合わないそうです。
  5. 農林水産省は、その対応策として、耕作放棄地を民間会社が借主として手を上げてほしい様ですが、実際に契約農場を持つ、大手居酒屋チェーン、ワタミの渡邊社長は「民間にとっては手続きの繁雑さや補助金制度の問題があって簡単には採算ベースには乗せられない。」そうです。

この様に、農地にはいろいろな規制があり、簡単に地主から耕作希望者への権限の移行は出来ません。

テレビ解説者のまとめは、三つの方法が考えられるとして、

  1. 今まで農業を仕事としていなかった人が農地を借りて耕作が出来るような法整備をする。大量退職時代を迎えて都市近郊であれば市民農園の運営をやってもらうとか、第二の人生を中山間地域へ移住して田畑を管理しながら過ごしてもらうための法整備をするとかの措置が必要である。
    要するに団塊の世代に期待する、と言う意味だと思います。
  2. 企業の農業界への進出を促がすこと。飲食業・外食産業・食品メーカーなどの企業がトレーサビリティーの必要性や、製品コストを考えた時に加工工場も農地内に併設できるような法整備が必要である。
  3. 教育と農業を連結させる方法、小中学校で農業実習農園を運営させるとか、農業への関心を持たせるカリキュラムを導入する。

などの意見を述べていました。

この様に、3月議会の日豪FTA/EPAの請願や限界集落の問題、国の税源委譲などが執行されてくる中、我々地方は母なる大地を守っていかないと生きる糧をみずから失ってしまうのではないでしょうか?

1999年の医師の国家資格合格者は約7千人。そして、同じ年の農業への就労者数は1千人。

人の命を救う人の数は7千人、人の命を育む食料を生産してくれる人は1千人。「メイ、命は食にあり」との言葉があります。

この数字とこの言葉を皆さんは、どうお考えになるでしょうか?

そんな状況の中で、「農地・水・環境保全向上対策」についてですが前回の議会で答弁を頂きました神川町土地改良区への施策の導入ですが本庄市の上真下・八幡山・保木野地区も含まれているとの事でありますが活動の様子はいかがでしょうか?

また、遊休農地、ゼロを目指して小和瀬地区の有志の方々が、埼玉県農林振興センターなどと話し合いなどをしているようですがその後の動きはどうなっているのでしょうか?

この、「農地・水・環境保全向上対策」のホームページを見ますと、平成18年12月7日現在、全国568ヶ所でこの事業が実施されています。

埼玉県内でも、この時点で12市町が登録されていました。前回の答弁にもあったように、確かに不透明な部分もあり、心配されるのですが、「この事業の対象は農振農用地と言う事になっておりますが、共同活動を一体的に行なう場所で、例えば水路・農道・ため池等などであれば白地地域を含めて対象地域にする事も可能との事でございます。ただし、補助金につきましては農振農用地に限られると言う事になります。」との答弁があり、昨年、12月議会の中原議員の質問の答弁で耕作放棄地の面積について。

本庄市地域・・・・小和瀬地区、46,430u。

沼和田地区、15,011u。今井地区、12,047u。

合計で、116,034u。

児玉地域は、飯倉地区、13,790u。塩谷地区、42,897u

金屋地区、70,478u。秋山地区、62,333u。

合計で、237,925u。

この調査結果から、耕作放棄地が多い地域は土地改良事業等の基盤整備が行われていない地域、また農業用の水利が整備されていない地域及び児玉地域の中山間地域に集中している事がお分かり頂けるかと思います。云々」とのことでした。放棄地面積を児玉地域と比べると本庄地域の倍です。

と、言う事は、この施策は児玉地域に適応出来たら有効ではないでしょうか?

全国で568ヶ所以上の実施がある事業ですので類似した状況下の地域があるように思うのですがいかがでしょうか?その事例があれば研究してみる価値があると思いますが市長のお考えはいかがでしょうか?

次に、「農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律」に付いてであります。

この法律は先月、5月9日に参議院で可決成立したものであって具体的な詳細についてはこれからだと思いますが、「この法律の目的は、人口の減少、高齢化の進展等により農山漁村の活力が低下している事にかんがみ、農山漁村における定住等及び農山漁村と都市との地域間交流を促進するための措置を講ずることにより農山漁村の活性化を図る事を目的とする、法律で、都市・農村交流施設を整備する地方自治体に国が交付金を出すもので国が定める基本方針をもとに地方自治体が地域活性化計画を策定、その自治体が同計画によって都市住民の農村滞在や定住などを促進するための体験農園、農産物直売所、グリーンツーリズ関連施設などを作る費用の2分の1を国が負担する。」ものであります。

前回の質問の答弁に、「本庄市でも児玉地域の中山間地域では人口が減少している事も確かでございます。

例えば昭和45年の太駄中地区の人口は254人でしたが平成17年には125人と、49.2%に減っています。

稲沢地区でも215人が113人と52.6%に減っています。

元泉地区全体でも1,613人が1,015人と62.9%に減っている状況でございます。このように高齢化が進んでいる中ですが、中山間地域の振興策安心して居住できる環境づくりが必要であると考えております。」

との答弁があったわけですので、是非とも10年、20年の先を見据えた舵取りをお願いしたいと思います。

政府は今年の夏に、全国総合開発計画を改め、新たな国土ビジョンとなる「国土形成計画」を策定するそうです。これは北海道と沖縄を除き全国を8つのブロックに分けて、
  1. 「地域の自立的な発展」
  2. 「活力ある経済社会」
  3. 「国民生活の安全」
  4. 「豊な環境」を謳い中央に依存しない経済的自立を促がし国はそれを支援するのだそうです。

5月22日の日本農業新聞に「国土形成計画」審議委員を務める精神科医の香山リカ氏の所見が出ていました、計画素案では「東京に依存しないで地域の独自性を十分生かす事が大事」と言ったようなきれいごとが書かれている。

だが、裏を返せば地方に自立を訴えなければならないほど国の財政がひっ迫しているということ。この現実をもっとストレートに伝えた方が「国はあてにできないから自分でやるしかない」また、「産業廃棄物処分場などを地方に押し付け便利で安全な生活を享受するアンバランスな状態はおかしい。あくまでも都市と農村は対等の関係になければいけない。」

いかがでしょうか?この様に現在の世の中の流れは「開発」基調から「成熟社会型」に変わりつつあると思います。

本庄市は東京から約80キロの距離に存在し、自然環境が沢山残り、交通の利便さを持ち、歴史・文化の遺産があり、早稲田大学の頭脳集積もあります。これらの環境をどう生かすのか?

市長のご所見をお伺いします。

 

◎吉川敏男経済環境部長 飯塚議員のご質問にお答えを申し上げます。
   農業活性化についてのうち、初めに農地・水・環境保全向上対策事業のその後の経緯につきましてでございますが、小和瀬地区における動向でございます。この地区は昔から肥沃な農耕地として利用されてきた土地でありながら、土地改良事業等の基盤整備がなされていない地区でございます。また、農業従事者の高齢化や後継者不足が進み、議員ご指摘のように12月定例会におきまして遊休農地が4万6,430平方メートルであるとご答弁したところでございます。その後ことしの2月、農業委員を初めとする関係者のご協力を得まして遊休農地対策事業が実施され、その結果、現在は2万9,889平方メートルに減少しております。現在この地区におきましては、本庄北部拠点ふれあいの里推進の会が中心となりまして、市と県本庄農林振興センターとの協議、勉強会を進めながら、土地改良事業の実施につきまして推進しているところでございます。

   しかしながら、土地改良事業が認可、また着手になるまではまだまだ時間がかかります。そのような中で小和瀬地区の有志の皆様から、将来的な土地改良事業を見据えながら農地・水・環境保全向上対策の事業をこの地区に取り入れることができないかとのご相談を受けたところでございます。この事業につきましては、本庄北部拠点ふれあいの里推進の会に対しまして、何度か概要を説明してきたところでございます。改めて今月の28日に自治会、農家組合等を含めた地元関係団体にお集まりいただき、県本庄農林振興センターの説明会を予定しているところでございます。いずれにいたしましても、この事業は対象地域をまとめ、農業者だけでなく地域住民、自治会、関係団体などが幅広く参加して活動組織をつくっていただかなければなりませんので、現在地区内の関係団体の本事業に対する共通理解を得るとともに、活動組織をつくるための調整を図っているところでございます。

   また、児玉地域における事業実施についてでございますが、本年度神川土地改良区関連の区域であります児玉町上真下、保木野、八幡山の一部について取り組む予定でございまして、この区域につきましては神川土地改良区の維持管理組合の活動を基本として実施いたしますが、特に上真下地区におきましては、地域独自の活動をこの農地・水・環境保全向上対策制度にあわせて実施することになりますので、さらに地元関係者と調整をしてまいります。

   なお、この制度の概要につきましては、地元が実施いたします土地改良施設の維持管理等の基礎的活動及び花の植栽等の環境保全向上対策活動に対しまして、県を単位といたします地域協議会から交付金が交付されることになりますので、地元としての調整が済めば、地元活動組織から地域協議会に対して申請が行われることになります。

   また、この施策を児玉地域に適用範囲を広げていったらどうかとのご提案をいただきましたが、現在中山間地域での遊休農地等の防止及び解消のための施策といたしまして、農地・水・環境保全向上対策の中山間地域版とでもいうような制度がございます。この制度は、中山間地域直接支払制度というもので、取り組みにつきましては、対象となる地区であります児玉町秋山地区及び金屋地区の約15ヘクタールにおいて現在4集落が認定され、市と協定を締結し、農地の除草、施設の維持管理及び景観保全等の活動を実施していただいておりまして、その活動に対して交付金が交付されております。なお、この事業は平成12年度から実施され、5年間の協定期間が終了いたしまして、平成17年度からさらに5年間更新され現在に至っております。この制度の内容は、中山間地域において農業施設の維持管理や遊休農地の防止及び解消などの活動を地元農業者が連体責任により行っているものでございます。

   議員ご提案の農地・水・環境保全向上対策事業を今後児玉地域に適用し、遊休農地の解消を図っていったらどうかということについてでございますが、遊休農地の解消のみを目的とした場合、この事業を直ちに適用して取り組むことは難しいのではないかと考えられますので、今後事業実施の可能性等十分研究、検討を重ねてまいりたいと存じます。

   次に、農業新聞などに全国で農地・水・環境保全を取り入れた事業を行っているとの報道があるが、本市に当てはまる同じような事業はできないのかとのご質問についてでございますが、この事業は全国的に実施されている事業ではありますが、平成18年度にモデル事業として始まったばかりで、平成19年度が実質1年目になる事業でありまして、まだまだ漠然とした部分が多く見受けられます。しかしながら、近年農地、農業用水等の資源の適切な保全管理が、高齢化や混住化等により困難になってきていることや、ゆとりや安らぎといった住民の価値観の変化への対応が必要なこと、環境保全を重視した農業生産に転換していくことなどが求められていますことから、地域ぐるみで効果の高い共同活動と農業者ぐるみでの先進的な営農活動の支援を目的としたこの農地・水・環境保全向上対策事業は、本市にとりましても地域によっては大変有効な事業であると思われますので、本市に当てはまるような事例がないかを含め、県本庄農林振興センター、関係団体等との協議、研究を重ねてまいりたいと考えております。

   次に、農山漁村の活性化のための定住化等及び地域間交流の促進に関する法律を生かした施策についてのご質問でございますが、この法律の目的は、農山漁村の活力が人口の減少、高齢化の進展等により低下している状況が見受けられるということで、農山漁村における定住等及び都市との地域間交流を促進するための対策として、今後国が定める基本方針に基づき活性化対策を策定し、これに基づく事業に対して交付金が交付されるというものであります。交付の対象となる事業の概要につきましては、定住等の促進に資する農林業の振興のための生産基盤及び施設の整備、同じく生活環境施設の整備、農林漁業の体験のための施設及び地域間交流のための施設整備などに対しまして、交付金が交付されるという制度であります。本市は東京から1時間程度で訪れることが可能な地域であり、また自然環境はもとより、観光資源や歴史、文化の豊かな地域であり、特に本泉地区等における農山村の活性化という意味では景観等の生活環境もよく、近年上水道も整備されたことや、平成17年に農林水産省が行った都市生活者に対するふるさと回帰・循環運動に関するアンケート調査でも、団塊世代の都市生活者の4割以上が出生県であるふるさとへの回帰を、また10人に1人は農村に定住して農業を営むことを希望しているとのアンケート結果もございますので、今後は滞在型の農業体験施設とか中山間地域での遊休農地の活用による就労もしくは農業体験等ということも考えられるのではないかと思います。いずれにいたしましても、少ない経費で遊休農地の解消等、さらには地域の活性化につながるような施策が展開できるよう研究、検討してまいりますので、ご理解をいただきたいと存じます。
   以上でございます。

◆8番(飯塚俊彦議員) 再質問させていただきます。どうもご答弁ありがとうございました。
   農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律というふうなことになっておりますが、結局農地・水・環境保全向上対策についても、地域の皆さんがそれぞれ自分たちのためにそれをやらなければいけないというふうなことが基本になっているということは、十分にわかります。それをいかにして行政側が促していくのかというふうな部分、これはさっきも言いましたように総合振興計画、本庄市をこれからどうにしていこうというふうな部分の中においても、非常に重要なことになるのではないかというふうなことを思います。例えば人口をふやしていくとか、そういう部分が大変な問題になると思うのですけれども、その中でさっきの再質問ですが、小和瀬地区の後継者不足が進んでいるということですが、本庄市全体では専業農家はどのくらいあるのか、また後継者となり得る団体やその加入人数はどのぐらいか把握されておりますでしょうか。もし地域ごとに把握ができていれば、一番いいかなと思うのですが。

   また、農業者だけでなく地域住民の方々や自治会関係者の方々が関心を持ってくださって、一緒に手を汚して活動してくれるということは、とてもよいことだと思います。土や泥や水に触れるということは、人間の持った本能、いやしのように思えるのですが、この点についての精神的な部分についてはいかがでしょうか。

   また、この農地・水・環境保全向上対策の説明の中には、さっきも申し上げましたとおりPTAもあれば消防団とか都市の住民、学校、NPO、企業、それぞれその地域の人たちが自由に参加をしていいというふうなことになっております。まさに地域の人々による地域の人々のための地域づくりになる。言うなれば、これは市の根幹になるのではないかというふうに思うのですが、その地域ということは、地域に住んでいらっしゃる方々が一番よく知っているはずですから、これを上手に導いていくというふうなことをしていただければと思います。

   それから、2006年度に農地・水・環境保全向上対策のモデル地区になった568地区のうち、中山間地の直接支払い制度を受けているという地域は64地域あります。この近くでは栃木県の茂木町竹原地区などがあって、両方もらえる部分というか、制度的な部分は違うと思うのですが、費用を出せるというふうなことがある地域、実践しているところがございます。ぜひ内容を検討していただきたいと思います。
   以上です。

◎吉川敏男経済環境部長 飯塚議員の再質問にお答えを申し上げます。
   まず、市内の専業農家の軒数、また後継者になり得る団体の有無、その加入人数等についてでございますけれども、専業農家の軒数につきましては、平成17年の農林業センサスによりますと444軒となっております。また、後継者になり得る団体といたしましては、農業青年会議所と4Hクラブの2団体が市に登録をされておりまして、それぞれの加入人数は73名、24名ということになっております。また、地域ごとにわかりますかとのご質問でございますが、地域単位での詳細は把握しておりませんので、ご了解をいただきたいと思います。

   次に、土や泥、水に触れることは、人間の持ったいやしの本能のように思える、また地域の人々による地域の人々たちのための地域づくりになるのではないかとのことについてでございますが、土や泥、水に触れるということは、ある意味人間の原点であるように思われます。また、農地・水・環境保全向上対策への取り組みにつきましては、先ほどご答弁申し上げましたところでございますけれども、この事業の目的は、ご質問のとおりまさしく地域の人々による地域の人々のための地域づくりというものです。地域の農業者だけでなく地域住民などを含めた多様な主体の方々の参加を得て、これらの資源の適切な管理を行うとともに、農村環境の保全にも役立つ地域協働の効果の高い取り組みを行うということでございます。

   そのような中で農山漁村環境のすばらしさや農作業の大変さを肌で感じてもらい、そして地域の農産物や自然環境を愛してもらうことだと考えております。そのためには、その地域の皆様のご理解と多大なるご協力をいただかなければなりません。いずれにいたしましても、埼玉県農林振興センターとも協議、検討を重ね、また関係団体、地域住民の意見をお聞きしながら、その地域での活動を支援してまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りたいと存じます。

   次に、中山間地域支払制度と農地・水・環境保全向上対策事業等あわせて実施していくことができないかどうかについてのご提案でございますが、議員ご質問の栃木県茂木町は地域住民による自主的活動の先進地でありまして、地域の特性を生かして地域住民によるまちづくりが盛んに行われているようでございまして、各種の報道等もなされているところでございます。当市における中山間地域支払制度の対象は、先ほどもご答弁申し上げましたように児玉町の秋山、そして金屋の地区の4地区でございます。今回の農地・水・環境保全向上対策事業にこの区域を編入することにつきましては、この事業の対象がある程度まとまった農地で連檐した地域であることが要件なのですけれども、現在の秋山、金屋地区はそれぞれが比較的狭小な面積の区域であり、農地のまとまり等の関係から、直ちに本制度へ取り込むことは難しい状況ではないかと思われます。しかしながら、この秋山、金屋地区を初めとした当市の中山間地域は山林のすそ野にあり、ため池などが存在し、さらには谷間の水田や畑などの農地も、人の心をいやすような景観を醸成している地域が多くあります。今後はこのような緑と水のある環境資源を大切に保全していくため、両制度を並行して実施していくことが可能かどうかなど十分研究、検討してまいりたいと存じますので、ご理解をいただきたいと存じます。
   以上でございます。

 

◆8番(飯塚俊彦議員) ありがとうございました。再々質問させていただきます。
   市長にお伺いしたいのですけれども、日本に江戸が終わって明治の初めにいろいろ来た外国の宣教師の方や作家の方、いろいろいらっしゃいます。「富国論」で有名なアダム・スミス氏がやはり日本の水田を称して言った言葉に、「米作地は最も肥沃な多量の食糧を産する。仮にその耕作により多くの労働を必要とするとしても、このすべての労働をするということは、小麦の場合よりははるかに大きい。だけれども、非常に日本の水田はきれいである。」というふうなことをおっしゃっているわけです。そのほかイザベラ・バードだとかロバート・フォーチュンだとか、有名な方々がそういうふうな話をしています。昨今棚田がなくなっていったりという農業の荒廃が目立つわけですが、まさに農家の方々が農業のことだけでやっていく、無理があるというのは当然予想される、わかっていることであります。その中で本庄市、児玉郡市も含めた中でのこれからの総合振興計画、まさに計画されているわけですが、そういう部分においての農業、土地、日本の場合中山間地域はほとんど全国の70%を占めているわけですから、その中をどうにしていくかというふうなことをひとつ考えていくことが、市全体の発展なり、もっと言えば生き残りというふうな部分になるのではないかと思います。この辺市長としてはどんなお考えがあるか、よろしければご所見をお伺いいたします

◎吉田信解市長 飯塚議員の再々質問でございますけれども、議員ご指摘のとおり、日本のもともと田園というのは非常に高密度な中での生産が可能であって、要するによそから変な話収奪をしなくても、その中で循環してやっていけたと。非常に狭い国土ではありますけれども、約3,000万人以上の国民が江戸期の中で充足ができる、そういう循環型社会をつくっていたわけでございまして、これは非常に景観的にも幕末や明治に外国人が訪れたときに、すばらしい景観、非常に美しい国であるということを言っておったと。やっぱり中山間のところまで棚田をつくって生産をするということは、これは生産の面もそうですし、ある意味環境という面でも、山を守り里を守るということにもつながっていたのだろうというふうに思うわけでございます。今現在山が大変荒れてしまっている、また中山間の方に遊休農地が多いという状況というのは、これは国土全体の観点から言っても、本来好ましいことではないのだろう思うわけです。もちろん今日本が置かれている状況というのは、国際経済社会の中で非常にいろいろと難しいかじ取りを迫られているわけでございまして、生産という意味から言えば、農業だけに特化するわけにはいかない。もう後戻りはできないわけでございます。

   しかしながら、例えば地球環境の問題であるとか、地域全体の環境の問題であるとか考えれば、当然中山間の農業のあり方あるいは林業までこれは含めてですけれども、しっかりと復活をさせていかなければならないということは、私は正しい方向なのだろうというふうに思っております。いろいろと課題はあると思いますけれども、本庄市としてそういう方向もしっかり模索していくことは、私はぜひ必要であろうと、このように考えております。所見ということで申し上げましたけれども、ぜひ今後とも議員からもいろいろとご指摘なりご指導をいただければというふうに思っております。
   以上でございます。