平成19年・第1回定例市議会・平成19年3月20日・一般質問

  1. 農業振興と活性化について
  2. 「人が集い新たな活動が生まれる拠点づく  りの施策」の早稲田大学との関係について

◆8番(飯塚俊彦議員) 3月議会最終質問者の飯塚でございます。よろしくお願いいたします。
   質問通告書に基づき質問をさせていただきます。今回は、一つ目、農業振興と活性化について、それから2番目、今議会初日にございました吉田市長の定例会における市長提案説明の中から第5番目の「人が集い、新たな活動が生まれる拠点づくりの施策」の早稲田大学との関係についてであります。

   ここにそら恐ろしい見出しの新聞記事がございます。「食糧自給率12%に」「農林水産省試算、農業生産額4割減」「375万人が失業」「米麦ほぼ壊滅」。また別の記事でございますが、「岐路に立つ限界集落」「過疎の集落1割強が限界」「移転か存続か、年寄りだけの生活に限度」。前半の四つは日本とオーストラリアの経済連携協定、EPAと呼んでいますが、この協定を締結したときに日本の国民が農林水産業を中心にこうむるだろう直接的な損害を表現したものであり、後半の四つは高齢化と人口減少が進み、65歳以上の住民の半数を占める状態になってしまった限界集落についての記事であります。

   限界集落とは、1991年に長野大学、大野晃教授が提唱した概念で、住民の半数以上が65歳以上の高齢者であり、冠婚葬祭や田役、道普請、用排水路の泥さらいなどの社会的共同生活の維持が難しくなっている集落のことであり、このような集落はいずれ消滅に向かうとされ、共同体としての形を保つための限界的な状態と言われております。これは山村過疎地域に多く見受けられる状況ですが、耕作放棄地の増加や中山間地の住民減少が進めば本庄市も当てはまらないとは言えない状況なのであります。どちらの記事も他人事ではないのです。日本の場合、農業と一口に言ってしまいますが、米や麦などをつくる農業もあれば野菜や果物をつくる農業もあります。また、牛や豚、鶏、それによって牛乳や卵などを生産する農業もあります。花や樹木をつくる農業もあります。一概に農業といっても多種多様な姿を見せます。

   そんな中で、私は以前から自給自足ができる本庄市ということを考えておりました。簡単に申せばテレビで放映されておりますダッシュ村のように、自分たちで畑を耕し、自分たちで草取りをし、自分たちで収穫をし、自分たちで収穫になった産物をいただき、生活をする、そんな生活がとうといことではないかと思っておりますが、世の中はそんな単純なものではありません。大小さまざまな問題が山積しております。その問題を解決に導き、だれもが安心して生活をできるように考え、行動する道筋を立てることが行政の役目だと思います。本庄市を取り巻く農業の現実はいかなるものと市長は認識していらっしゃるでしょうか。

   先般、仁手地区と小和瀬地区でそれぞれ遊休農地解消のために農業委員会の皆さんやそれぞれ自治会の皆さん、地元消防団の皆さん、地権者の皆さんたちが実際に荒廃してしまった農地を伐根したり焼き畑をしたりした記事が「広報ほんじょう」に取り上げられていましたが、この活動の内容を詳しく教えていただきたいと思います。吉田市長みずからも作業に参加した新聞報道記事もありました。そして、今後は児玉町も含めた活動になっていくのでしょうか。また、この活動にも多くの問題点があろうと思います。2回にわたり実施した作業の今後はどうなっていくのか、本庄市はどのように考えているのでしょうか。

   また、本庄市の就労農家数とその平均年齢、農業従事者の男女別数、昨年9月議会で補正を組みました20万円の使途、それぞれどうなっているか教えていただきたいと思います。

   昨年12月議会で中原議員の質問にるる市長がお答えになっておりますが、問題点がわかったとしたら、ではどうそれに対処するのか。今回の仁手、小和瀬地区を実際に活動した経験を有効に生かしていってほしいと思います。

   ここに、平成18年4月に農林水産省が出した「耕作放棄地対策推進の手引き」という本があります。この中に「耕作放棄地は年々増加し、平成17年には日本全体で38万ヘクタールに達しました。自給的農家や土地持ち非農家の耕作放棄地面積が増加し、現在では4万ヘクタールの増加となっております。38万ヘクタールという耕作放棄地の面積は、埼玉県や滋賀県の面積に匹敵する規模です。また、我が国の耕地面積は478万ヘクタールで、国土面積3,779万ヘクタールの13%ですが、ドイツの耕地面積は1,200万ヘクタールで、国土面積3,570万ヘクタールの34%。我が国の国土面積の3分の2程度のイギリスでさえも耕地面積は580万ヘクタールあります。このように国土面積に比べて耕地面積が少ない我が国において、38万ヘクタールもの農地が利用されていない事実は食糧自給率の向上や農業の多面的機能の発揮にも支障を及ぼしかねません。

   そして、ちょっと古い資料ですが、2002年、平成14年の日本の食糧自給率、カロリーベースで40%、同じく韓国47%、イギリス74%、ドイツ91%、アメリカ119%、フランス130%、オーストラリア230%であります。自分の国の食糧を自分たちで賄えなくて60%を輸入に依存している先進国は日本だけであります。戦後の飛躍的復興の中で農業政策がきちんとできなかったことに原因があるとは思いますが、どこのデパートやスーパーに行っても物資がふんだんに陳列されていることを見ますと、何か我々の日常生活とかけ離れている現実を感じるのですが、いかがでしょうか。

   市内の中心市街地が空き家ばかりになって空洞化しているのと同様、農業地域の田畑が耕作放棄地となっているのは農業地域の空洞化ではないでしょうか。だとしたら、やはり空洞化はとめなければなりません。全国各地でいろいろな施策がとられています。本庄市でもできる事業があるかと思います。ぜひ市長も率先して自給自足の本庄市を考えていただきたいと思います。
   その一つに当たると思うのですが、農林水産省農村振興局、埼玉県などが「農地・水・環境の保全向上のために」という活動を進めています。これはいかなるもので、本庄市ではどのような対応になっているのでしょうか。
   先日、本庄市環境審議会がありました。この中で不法投棄や河川の汚染、地球環境のことなどが話されました。そして、遊休農地の改善が環境問題とも密接なつながりがあるという意見が多く出されました。そして児玉町の中山間地域の樹木をきちんと修正しないと、やがては下流域の水害、山間地の土砂災害に結びつく危険があるとの意見も出されておりました。確かに工業化、IT化、スピード化、必要だと思います。気候に恵まれ、風水害が少ないこの地の農業をもっと有効に発展、維持させていくには、本庄市だからできる施策があろうかと思いますが、いかがでしょうか。
   次に、人が集い、あらたな活動が生まれる拠点づくりの施策の早稲田大学との関係についてであります。これは今議会冒頭にありました「定例会における市長提案説明」の中の13ページ、第5番の部分に「早稲田大学のリサーチパーク推進事業を継続支援し、大学との包括協定に基づき、共同連携事業を開催し、大学と地域の連携強化を図るとありますが、共同連携事業とは具体的にはどのようなものとお考えでしょうか。財団法人本庄国際リサーチパーク研究推進機構の2006年度中間事業報告書によりますと、同財団が行っている事業が七つあります。1、研究教育支援事業、2、産・学・公・地域連携事業、3、企業支援インキュベーション事業、4、地域交流人材育成事業、5、情報提供事業、6、研究教育施設の管理運営事業、7、その他の事業をそれぞれ市内で展開しております。私も個人的に参加させていただいている事業もありますが、その中できょうは、2番の産・学・公・地域連携事業の中の地元小学校と連携した早稲田大学の研究室学生による環境教育活動や河川調査等のコーディネート事業というものが行われております。この事業と本庄市との関係について質問をさせていただきます。
   この事業は、国土交通省が行っております小山川、元小山川清流ルネッサンスUとも連動し、早稲田大学理工学術院の榊原豊教授や埼玉県及び県の環境科学国際センター、本庄市の環境関連の職員などが地域・水・環境再生を目指した活動を市内藤田小学校で4回、旭小学校で2回、それぞれ行いました。
   まず初めに、昨年の7月11日、旭小学校で早稲田大学榊原研究室の伊藤さん、中田さん、岩本さん、総合的学習の時間の中で元小山川の浄化についての出張授業を行い、8月4日には藤田小学校の児童とともに共同魚類調査を行いました。汚れた川を生き物がたくさんすむきれいな川に戻すために、小学生と大学生や大学院生のお兄さん、お姉さんたちが胸まである長靴を履いて一緒に川に入り、モツゴ、タモロコ、オイカワなどの10センチ程度の魚をとり、その生息状況で川の汚れを観測しました。昨年の11月12日の日曜日と本年2月11日日曜日には、両校の児童とともに旭小学校区内の元小山川フラワーパーク内、同じく元小山川市役所裏及び女堀川、藤田小学校校区の元小山川、それから新泉橋付近、同じく牧西橋付近、小山川の湯かっこ付近などで共同魚類調査を実施したそうです。本年2月11日の調査では、元小山川の新泉橋、牧西橋付近では、清流に生息すると言われているオイカワ、この辺ではヤマベと呼んでいるそうですが、の魚が確認され、清流が戻りつつある証拠ということで本年2月17日の土曜日の埼玉新聞にも紹介されております。
   このように環境改善を行っていく上においても大変有意義な取り組みと思います。この調査の終わりにおのおのの先生方から「きょうの活動を遊びに終わらせないよう、ほかの人に伝える努力をしてください。また、ほかの人に伝えるときには事実を正確に伝えるとともに、楽しかったことも伝えることが大切です」とのお話があったようです。まさにそのとおりだと思います。
   いろいろな事業が早稲田大学を通じて行われておりますが、楽しく興味のあることでなければ長続きはしません。では、楽しく興味ある活動とはどんなものなのか。これは地元の小学生と大学院生の直接的な触れ合い、信頼関係をベースとして、元小山川の自然を通じてお互いに成長し合うということではないでしょうか。
   私は、教育や人間の育成の本質がここにあるように思います。おとといのNHKの番組で植村直己さんが出ていた番組がございました。この中でも「結果だけを求めるのではなく、その過程が大切なんだ」というようなことを話をしておりました。私も子供のころ、若泉第一公園から第二公園、そしてその先の浄水場下の清水がわき出ていた河原でよく遊びましたが、このように河原の現場でも元小山川の愛情をはぐくみ、ひいては地域への愛情につながるような教育の本質に触れる。人と人とが織りなすリアルな物語が展開しています。まさに事件、事象は現場で起きているのです。どうかこの取り組みを早稲田大学との包括協定を含めた共同連携事業として根づかせていってほしいと思いますが、この共同連携事業を教育委員会を初めとした各行政部門ではどのようにとらえていらっしゃるのか、またどうあるべきとお考えなのか、その見解をお伺いしたいと思います。
   以上で質問を終わります。

◎吉川敏男経済環境部長 飯塚議員のご質問にお答えを申し上げます。
   初めに、農業振興と活性化についてですが、新聞記事を二つご紹介いただきました。最初の話題は平成19年2月27日発行の日本農業新聞の日本とオーストラリアの経済連携協定に関しての記事で、この協定はエコノミック・パートナーシップ・アグリメントといって、この頭文字をとってEPAと呼ばれているものです。農林水産省が経済財政諮問会議のEPA、農業ワーキンググループに提出した資料の内容を解説したものです。この資料は仮に農産物等の国境措置を全面的に撤廃した場合の影響を試算したものですが、最悪の結果を示すことによって国民の共感を得ながら経済界の一部などが主張している農産物も含めた完全自由化を牽制することをねらったものと見られております。
   他方、政府は、基本として農業は最も大事な戦略産業であり、この核の部分だけは守らなければならないと従来からの方針を堅持するとの考えを表明しています。日本とオーストラリアとの経済連携協定、EPAにつきましては、日本の農業に大きな打撃を与えるものと感じております。
   次に、ご紹介された新聞記事は平成19年3月2日の全国農業新聞でございますが、集落から若い人がいなくなって、高齢者が住民の半数を占める限界集落の状況が書かれてあります。雪の降る地域では除雪が行き届かずに孤立して子供たちの通学に支障が出ている様子についてですが、幸いなことに本庄市は降雪量が少なく、そういった事態にはなっておりません。しかしながら、本庄市でも児玉地域の中山間地域では人口が減少していることも確かでございます。例えば昭和45年の太駄中地区の人口は254人でしたが、35年後の平成17年には125人と49.2%に減っています。また、稲沢地区でも215人が113人と52.6%に減っています。元泉地区全体でも1,613人が1,015人と62.9%に減っている状況でございます。このように高齢化が進んでいる中ですが、中山間地域の振興策と安心して居住できる環境づくりが必要であると考えております。議員のご質問の中で触れられていましたテレビの人気番組で紹介されたように、古きよき時代には多くの集落で農業を中心とした自給自足の生活をしていました。しかし、自給自足の生活では現金収入が少ないことから、多くの若者が都会に出ていったことも事実です。
   ご質問の本庄市を取り巻く農業の充実についてですが、本庄市は南北に連なる日本列島のほぼ中心に位置しておりますことから、農産物生産では九州方面から見ると作付の北限内に、北海道から見ると南限内に含まれるという地理的条件に恵まれております。また、災害が少なく、肥沃な土壌と温和な気候に恵まれており、そうした自然環境が高品質な農産物生産における最適な条件となっております。
   さらに、大消費地である首都圏に近いため、生鮮野菜を中心とした都市近郊型農業として、新鮮で高品質な食糧の一大供給基地ともなっております。こうしたことから、どんなものでも生産できるという生産条件にあり、そうした潜在力が本庄市の農業の特徴ではないかと考えております。主力野菜以外にも、鉢物の切り花などの花卉類、養鶏、養豚、酪農、肥育などの畜産業、米麦については種子生産の拠点ともなっております。また、シイタケなどの林産物など、多様な展開が図られています。
   一方、国際社会の中での本庄市の農業という点については、国も推進しているように、攻めの農業ということで、ネギ、ヤマトイモ、キュウリ、ミズナ等、本庄産農産物のシンガポール、マレーシアへの輸出促進が図られております。また、余り知られておりませんが、最大手のコンビニで販売されておりますサンドイッチに入っているキュウリですが、実はこのキュウリ、本庄産だと伺っております。やはり品質の高さが評価された結果ではないかと思います。また、熊谷市内の大手デパートが取り扱う贈答用のネギも、昨年末から本庄産に切りかわったと伺っております。このような本庄市農業の持つさまざまな潜在力が今後さらに開花するよう、生産性が高く、競争力にすぐれた地域農業の振興を今後とも図ってまいりたいと考えております。
   次に、本庄市の就労農家数、農業従事者の男女別数、農業就労者の平均年齢についてお答え申し上げます。農家戸数は、本庄地域が1,119戸、児玉地域が1,068戸、合計2,187戸であります。そのうち販売農家は本庄地域806戸、児玉地域492戸の合計1,298戸です。農業従事者の男女別数は、主に自主自営農業に従事した世帯員のうち、ふだん仕事を主とする年齢別世帯員数、これを基幹的農業従事者数ともいいますが、この数値では、本庄地域では男852人、女708人、合計1,560人、男女比では男が55%でございます。また、児玉地域では男405人、女298人、合計703人、男女比では男が58%です。本庄市全体では男1,257人、女1,006人、合計2,263人です。男女比では男が56%となっております。
   次に、農業就労者の平均年齢ですが、統計では平均年齢が出されていませんが、独自に算出してみました。まず、全国数値で申し上げますと、60歳未満が30.1%、60歳から69歳が30.0%、70歳以上が39.9%になっています。若い県と言われている埼玉県の農業就労者は、60歳未満が27.9%と全国数値よりも高齢化しています。本庄地域では60歳未満が37.5%と若者が多く就労していますが、児玉地域では27.0%と県平均と同様です。なお、児玉郡、大里郡内で見ますと、岡部が41.0%、本庄が37.5%、深谷が36.5%と野菜栽培の盛んな地域で若者の就労が多いようです。
   次に、仁手地区及び小和瀬地区の遊休農地解消の活動についてでございますが、議員ご指摘のように、「広報ほんじょう」3月号の記事にも掲載させていただきましたように、第1回目として先月2日に仁手地区において耕作放棄地を農業委員総出で改修しました。なお、この畑については、認定農業者が耕作する予定でございます。
   第2回目として、小和瀬地区の遊休農地につきましては、地元農業委員や世話人による地権者との話し合いを重ね、開所後には地権者が酪農家へ農業経営基盤強化促進法に基づく利用権の設定を行うことの同意を得て、2月25日午後1時から小和瀬地区住民、小和瀬地区自主防災隊、地権者、本庄市消防団第4分団及び第5分団並びに農業委員等、総勢約80名が参加して自治会長の合図により一斉に枯れ草に点火し、4時間かけて焼き払いました。しかし、現地にはまだ立ち木やコンクリートのU字溝の埋設物などが残っているため、今月中旬にパワーショベルを借りて小和瀬地区住民や地権者で伐採、撤去して、その後、この農地を借りて大型トラクターで耕うんし、牧草の種を播種する予定でございます。2回の作業を通じて言えることは、やはり大勢の人の力、マンパワーはすごいなと感じたことと、地権者や地区住民の理解を得て協力を取りつけるまでには根気強い説明、説得が重要なことであると感じられたことだと思います。
   また、今後は隔年ごとに本庄地域、児玉地域で実施する予定です。したがいまして、19年度は児玉地域で実施する予定でございますので、地元農業委員には早目に実施予定地を選定し、地権者や関係住民の協力を得られるよう取り組みすることを農業委員会で確認しているようでございます。
   また、18年度9月補正予算の20万円につきましては、立ち木の伐根等に要する重機の借上料に充てさせていただきました。
   次に、農地・水・環境保全向上対策についてお答えいたします。農林水産省の施策として米の需給調整と麦、大豆等の品目横断的経営安定対策が生産活動の目玉事業になっています。品目横断的経営安定対策は、産業政策として担い手の明確化と施策の集中、重点化により力強い農業構造の確立を目指すものです。しかし、その実現には農地・水・環境保全向上対策が不可欠と考えているようです。水路の草刈り等の地域管理は今でもやっていますが、今はできていても農家の高齢化が進み、品目横断的経営安定対策で耕作者を担い手に集積すると、地域で農業を継続する人は少数に減ってしまいます。そこで、農地・水・環境保全向上対策は、地域振興政策として、その基盤となる農地・水・環境の保全向上と農業の自然循環機能の維持、増進を図るものです。品目横断的経営安定対策と農地・水・環境保全向上対策の両施策が車の両輪となり、連携、整合を図りながら推進されることにより、担い手とこの基盤が守られ、農業の持続的発展と、これを通じた食料安定供給、多面的機能の発揮が期待されています。
   農地・水・環境保全向上対策事業の基礎支援は草刈り等の共同活動支援で、補助金は10アール当たりで田で4,400円、畑で2,800円です。上乗せ部分は、営農基礎活動支援と先進的営農支援の二つの事業があります。営農基礎活動支援は農村環境向上支援で、農業用水等の農業生産施設の点検や長寿化、生態系保全、水質保全、花植えやグラウンドカバープランツなどの景観形成など環境に優しい事業についてで、これには1集落当たり20万円の補助が出ます。先進的営農支援は地域でまとまって減農薬、減化学肥料栽培等の先進的な取り組みをしている地区に対して、作物別に農家への実額補助が可能になります。
   農地・水・環境保全向上対策事業の費用負担は、国が50%、県が25%、市町村が25%です。なお、市町村負担分については、地方財政措置として交付税で配慮する通知も出ました。国が想定する事業規模は総額300億円で、うち共同活動支援は270億円で、全国の農振農用地の半分、営農基礎活動支援は10億円、先進的営農支援は30億円を想定しているようでございます。
   しかし、この事業は5年間の時限的な補助事業であり、現在の水路管理体制を変更してこの事業に乗りかえた場合、5年後に補助金がなくなったからといっても従来の方法には戻せず、管理体制が破壊される危惧もあることから、交付金の持続性や具体的な使途について、国、県に何度も問い合わせを行いましたが、新しい事業であるために漠然としている部分もあり、明確な回答は得られませんでした。そこで、本庄市全域での事業化は難しく、水路管理体制が未整備の一部区域で始めることになりました。
   本庄市の農地・水・環境保全向上対策事業への取り組みにつきましては、本庄市児玉町上真下及び八幡山、保木野のそれぞれの一部が県営畑地帯総合土地改良事業神川東部土地改良区の区域として当時実施され、現在合併により神川町土地改良区の区域となっています。神川町土地改良区といたしましては、従来維持管理組合がなかったために、今回の事業を契機として維持管理組合を設立し、農地及び土地改良施設等の保全活動に取り組んでいくということでありまして、上真下及び八幡山、保木野の一部についても神川町の取り組みと同様に対応していこうとするため、同地域の活動組織を支援するために取り組んでいこうとするものであります。同地域の活動面積は約44ヘクタールでありますが、補助金の交付対象面積といたしましては、その半分の面積を対象とすることで取り組んでいこうとするものであります。
   以上でございます。

◎丸山茂教育委員会事務局長 飯塚議員のご質問にお答え申し上げます。
   本庄国際リサーチパーク研究推進機構が活動しております産・学・公・地域連携事業についてでございますが、藤田小、旭小が参加をいたしまして、早稲田大学の榊原研究室との共同事業でございます。これについて、内容につきましては先ほど議員からるるご説明がございました。結論だけ申し上げたいと思いますので、よろしくお願いします。どう現在とらえ、これからどうあるべきかというご質問でございますが、これは早稲田大学との包括協定のもとで実現したいわゆる小学校の実践でございます。大変多くの賛助者、協力者に恵まれまして、市といたしましても成功の手ごたえを感じているところでございます。今後もさらに内容の充実や対象の拡大を目指し、継続的に取り組む所存でございますので、ご理解をいただきたいと存じます。

◆8番(飯塚俊彦議員) どうもありがとうございました。早稲田の関係についてもう少し話を聞きたいところもあるのですが、まず農地・水・環境保全対策ということのこの施策の導入なのですが、先ほど答弁の中で水路管理体制、それから用排水管理組合、これは土地改良したところで補助金が出ているということですよね。この部分ではなく、このほかのところに「農地・水・環境保全向上のために」というのが当てはまるのかどうなのか、そのことをちょっと質問させていただきたいと思います。
   あともう一つ、国土交通省が全国総合開発計画というのをずっと行ってきたわけですけれども、今回21世紀の新たなビジョンということで国土形成計画ということで見直しをしております。これは先ほど言ったように限界集落との関係も出てきます。農林水産省だけではなくて国土交通省も偏った国土構造になってしまっているということを懸念しているのではないかなというふうなことがあるかと思います。ですから、全体的なことでの「農地・水・環境保全向上のために」と、これは自治会だとか水系単位ですとか事業所単位ですとか、そういうところ、みんなでやるという事業ですよね。これを何とか行政側で手を携えていただいて実行に移せないかなというふうに思うのですが、その点1点、済みません、答弁お願いします。

◎吉川敏男経済環境部長 飯塚議員の再質問にお答えを申し上げます。
   まず、土地改良した地域以外の地域をこの事業の対象にできないのかということについてでございますが、この事業の対象は農振農用地ということになっておりますが、共同活動を一体的に行う場所で、例えば水路ですとか農道、ため池等などであれば白地地域を含めて対象地域にすることも可能とのことでございます。ただし、補助金につきましては農振農用地に限られるということになります。
   また、今後のこの事業の推進についてどう考えるかということだと思いますが、先ほども若干申し上げましたように、国の方では平成18年度モデル事業というのを実施をいたしまして検討してきて、平成19年度本格実施ということがございますが、まだ明確になっていない部分も相当ございます。
   そういったことを含めて今後の市の考え方でございますが、この活動について、農業をやっていない方も含めた活動組織を組織してやってくださいという事業でございます。また、市とのかかわりでは、市が組織された活動組織と協定を結びまして、活動計画の確認とかチェックとか助言指導をすることになっておりまして、活動組織では活動計画の策定、補助金の申請、その後の各種の事務処理等は活動組織それぞれ自分たちで行うことになりますが、煩雑な事務が多いために、実質的には市や土地改良区などが事務を代行することになるのではないか。また、この事業は国庫補助事業でありますので、会計検査の対象になるために、この検査に対する対応等が危惧されるというようなことが考えられます。このように幾つかの問題点はありますが、議員ご指摘のように今後の本市の農業は減農薬、減化学肥料による環境保全型農業の推進並びに耕作放棄地の解消等は今後の農業にとって欠くことのできない重要なことであると考えております。したがいまして、この農地・水・環境保全対策事業をこうしたことの効果が上がる施策とも考えられますので、今後県などの指導をいただく中で農業者や間連団体等の意見、意向等を十分お聞きしながら、十分な調査、研究、検討を重ねながら取り組みの方策を考えてまいりたいと思います。
   以上でございます。